東日本橋レディースクリニック

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病名ごとの説明

子宮頸がん

 
婦人科のがんで最も多い子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。

子宮頸がんは、腟の奥の子宮頸部とよばれる部分に出来る癌です。早期に発見すれば比較的治療しやすい癌ですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要といえます。
 

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)

 
子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しています。

HPVは、性交渉で感染するウイルスです。子宮頸がんの患者さんの90%以上からHPVが検出されます。
 
HPV感染そのものは珍しい事ではなく、感染するだけでは何も問題は起きません。感染した方の中で、一部の方に異形成と呼ばれる子宮頸がんの前がん病変や、子宮頸がんが発生すると考えられています。
 
また、喫煙も子宮頸がんの危険因子です。
 
子宮頚がんになる確率を下げるためには、初めての性行為の前にHPVワクチンを接種しておくことが大切です。
 
お住いの自治体にて無料で接種できる医療機関を案内しているので、ご確認ください。

また、以前にHPVワクチンを受けた、という方であっても、癌にならない訳ではないので、定期的な子宮頸がん検診も受けるようにしてください。
 
 

頚部異形成

 
子宮頸がん検診の結果は大きく分けて「正常」「異形成」「癌」の三つに分けられます。正常な方がいきなり癌になる訳ではなく、異形成という段階を経て、何年もかけて癌になる事があるのですが、異形成という状態も「軽度」「中等度」「高度」の3段階に分かれています。
 

軽度異形成

60%の方は1~2年以内に自然に良くなり、10%の方が中等度異形成に進みます。(20代の方であれば90%は自然に良くなります)そのため、治療せずに経過観察することが多いです。ハイリスクのHPVに感染している場合には4~6カ月ごと、感染していない場合には1年ごとに経過を診ます。
 
ご希望の方には、「フェノール」という薬品を月に1回塗布する治療法も行っています。8割の方が半年ほど、残りの2割の方が1年ほど、平均すれば4ヶ月ほどで正常に戻ると言われている治療法です。重い副作用もなくできる治療法ですので、ご希望の方は出血していない時に院長外来をご予約の上、ご来院ください。(妊娠への影響が不明の為、妊活中の方は治療できません)
 
 
 

中等度異形成

40%の方は1~2年以内に自然に良くなり、20%の方が高度異形成に進みます。ハイリスクのHPVに感染している場合には3カ月ごと、感染していない場合には半年ごとに経過を診ます。
 
 
 

高度異形成

この場合は、中には癌が含まれている可能性も出てくるため、治療対象となってきます。治療法には、大きく分けて「円錐切除」と「レーザー蒸散」の二つに分かれます。(高度異形成の方はフェノール療法に対応していません)
 
円錐切除では、将来的な妊娠時の早産リスクが上がる可能性があり、妊娠希望のある方はレーザー蒸散がお勧めです。
(病変部が全て確認できない場合はレーザー蒸散が行えません)
 

レーザー蒸散

 
子宮頚部の病変を含む部分をCO2レーザーにて蒸散します。悪い細胞を焼き飛ばすイメージです。
 
 
手術の流れ
・手術の15~30分前に痛み止めの座薬を使います。手術時間そのものは10分前後です。
・痛みはほとんどなく、麻酔なしで施行可能ですが、痛みがある場合は局所麻酔を追加いたします。
・手術の30分後に止血の確認をして終了です。
 
 
術後の注意点
・1か月間は性行為禁止です。
・水っぽい帯下や少量の出血が1か月程続くことがあります。
・術後2週間で診察し、さらに1か月後に子宮頸がん検査で治癒確認を行います。
 
費用
保険適応(3割負担)にて、約12,000円ほどになります。(保険診療の為、全国共通の値段です)
 
 
ご予約
処置前の採血検査が必要なため、ご都合の良い日時でのWEB予約をお願いします。
 
 

生活上の注意点
異形成は自然によくなることも多いのですが、良くなりにくい要因として「喫煙」があります。受動喫煙も同じことなので、周囲の方も含めて禁煙を心がけましょう。
 
また、日ごろの食生活では果物や野菜を摂る量が少ないと、リスクが4~5倍になる可能性があるので、食生活を見直すことも始めてみましょう。
 
子宮頸がんを予防するための食生活

子宮筋腫

 
女性の3割は持っていると言われる「子宮筋腫」 
自覚症状は全くないのに、健康診断で見つかることもあります。

そんな子宮筋腫が問題になるのは「大きさ」と「位置」次第です

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㎝近い大きさの子宮筋腫になってくると、お腹の上から直接触ってもわかったり、便秘がちになったり、トイレが近くなることもあります。
 
また、子宮筋腫がある位置によっては、3cm程度の大きさでも、生理の量が非常に多くなり、貧血症状が進むこともあります。

健康診断で子宮筋腫や貧血を指摘された方、普段から生理の量が多いかなと思う方、お腹周りが大きくなったかなと思う方は一度ご相談ください。
 

検査方法

経腟超音波や経腹超音波、MRIという検査になります。
 

治療方法

手術で摘出したり、栄養血管をブロックして縮めたり、ホルモン治療にて縮めることができます。
 
具体的な治療法などはこちらをご覧ください
 子宮筋腫について
 
 

卵巣腫瘍

 
代表的な卵巣腫瘍としては、チョコレート嚢腫と皮様嚢腫(奇形腫とも)が挙げられます。多くの場合は自覚症状もなく、健康診断などでたまたま見つかることがあります。
 

チョコレート嚢腫について

文字通り卵巣腫瘍の中にチョコレートのような液体が入っている腫瘍です。古い血液が腫瘍の中にたまり、それが徐々に茶色くなっていって、最終的にはチョコレートのようになります。
 
チョコレート嚢腫があると、生理痛が強くなることがあり、生理痛で受診した時にたまたま見つかることも多い腫瘍です。
 
チョコレート嚢腫は、別名「内膜症性嚢胞」とも呼び、子宮内膜症の中に含まれます。
 
子宮内膜症は、子宮の内側にある「子宮内膜」という組織が子宮以外の場所で増える病気で、生理のある女性の約10%にみられます。
 
生理痛の原因となり、年齢とともに悪化していくと、生理以外の下腹痛、腰痛、性交痛および排便痛が出てくることもあります。
 
不妊症との関係も指摘されていて、原因不明の不妊症患者の半数に子宮内膜症が存在するともいわれています。
 
このチョコレート嚢腫は稀に癌になることがあります。
 
20代、30代の方で大きさが2~3cmであれば、まず心配はいりません。
 
しかし、10cm近い大きさがあったり、40代以上の方で6cm前後の大きさであれば、詳しい検査をしつつ、手術も視野に入れることがあります。
 

検査方法

経腟超音波や経腹超音波、MRIという検査になります。
 

治療方法

大きすぎる場合には手術でチョコレート嚢腫だけを摘出し、卵巣そのものは残します。
ピルやジエノゲストなどのホルモン治療で縮められる可能性もあるため、大きさや症状に応じて治療法を選択します。
 
 

皮様嚢腫について

チョコレート嚢腫では、中にチョコレートのような液体が入っていたのですが、この皮様嚢腫に関しては、脂肪・毛髪・歯などが入っています。
 
ブラックジャックという漫画に出てくる、ピノコというキャラクターは、この皮様嚢腫の中に入っていた臓器をつなぎ合わせて作られた設定です。
 
実際にはそこまで様々な臓器が入っていることはほとんどなく、多くは脂肪や毛髪が入っている状況で発見されます。
 

検査方法

経腟超音波や経腹超音波、MRIという検査になります。
 

治療方法

 飲み薬や注射では縮めることはできないため、ある程度の大きさがあれば手術をすることになります。
 
基本的には、年齢とともに徐々に大きくなってくるため、いつかは手術が必要になることがほとんどです。
 
3~4cmであれば経過を診ることが多いのですが、5~6cmを超えてくると、何かをきっかけに急に腫瘍が捻じれて、激痛を引き起こし、多くの場合は救急車で運ばれて緊急手術になる可能性が出てきます。
 
そのため、ある程度の大きさになれば手術を勧めることが増えてきます。
 
チョコレート嚢腫も皮様嚢腫も手術が選択肢になることがあります。
 
多くの場合は腫れている腫瘍の部分だけを取り除き、正常な卵巣自体は残すことになりますが、あまりに腫瘍が大きい場合には、正常な卵巣組織をあまり残せないこともあります。
 
ただし、卵巣自体は左右に二つあり、片方が残っていれば妊娠の可能性はありますので、それほど心配する必要はないと言えるでしょう。
 
いずれにせよ、手術後に再発する可能性はあるため、定期的な経過観察は必要です。
 
特にチョコレート嚢腫に関しては、術後再発予防のためにピルなどのホルモン治療は効果的なため、定期的に婦人科に通うようにしましょう。
 

チョコレート嚢腫の手術後再発に関する論文
Dienogest therapy during the early stages of recurrence of endometrioma might be an alternative therapeutic option to avoid repeat surgeries.
この論文では、内膜症の治療を受けた146人のデータを検討しています。
手術の後、何も継続した治療をしなかった人が83人、低用量ピルを継続した人が32人、ジェノゲスト(商品名はディナゲスト)を継続した人が27人でした。
 
そのうち、16人が内膜症を再発したのですが、12人は内膜症術後に何も治療を受けなかった人たちでした。低用量ピルの群からは3人、ジェノゲストの群からは1人が再発しました。
 
つまり、無治療群での再発率は、12/83=14%、低用量ピルでの再発率は、3/32=9%、ジェノゲストでの再発率は、1/27=4%と言う結果になりました。
 
再発した人のうち11人は、再発と診断がついた直後からジェノゲストによる治療を始めました。
そのうち7人は2年間治療を継続し、4人は再発した内膜症が完全に治りました。
 
以上のことから、内膜症というのは手術をしたとしても、無治療で過ごすと再発してしまう事があり、その再発率を下げるためには、手術後も低用量ピルやジェノゲストでの継続治療が必要、ということになります。
 
低用量ピルやジェノゲストを内服している間は妊娠の確率がほぼゼロになってしまうため、妊娠を希望している方は、出来るだけ早く妊娠する事が内膜症の再発予防にもなります。 

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来は子宮の内側にある子宮内膜という組織が、子宮以外の場所(卵巣など)で増える状態のことです。
 
子宮の内側からはがれた子宮内膜は、月経血として腟から体の外へ出ていきますが、子宮以外の場所で増えた子宮内膜組織はそこにとどまり、痛みや癒着(もともと離れている組織がくっついてしまう)の原因になります。
 
また、不妊の原因になることもあります。良性の病気なので、命にかかわることはありませんが、痛みなどの症状をコントロールしながら、閉経まで気長につきあっていく必要があります。
 

どこに出来るの?

子宮内膜症ができやすい場所は、腹膜、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)などです。
 
卵巣にできたものをチョコレート嚢胞とよびます。チョコレート嚢胞がある場合は、卵巣に古い血液が溜まって卵巣がふくれ、周囲の卵管などと癒着して痛みや不妊の原因になることがあります。
 
小さいうちは大丈夫ですが、大きくなるにつれて、まれにがん化することがありますので、必ず定期的に検査を受けましょう。
 

検査方法は?

内診での超音波検査で、子宮や卵巣が腫れていないかを確認します。ただし、腹膜という場所にある子宮内膜症は非常に小さく超音波検査では確認することができません。
 
「超音波では何もない」と言われて子宮内膜症を否定された方もいるかもしれませんが、生理痛が強かったり、排便痛・性交痛がある場合には、腹膜に子宮内膜症がある可能性があります。
 
内診検査が難しい場合には、MRI検査にて子宮・卵巣の腫れを確認することも可能です。
 

治療方法は?

妊娠希望があるかどうかで大きく治療法は分かれます。
 
妊娠希望がある場合
ホルモン治療ができないため、鎮痛剤や漢方を使いながら早期妊娠を目指すことをお勧めします。妊娠しにくい原因がないかどうか、女性も男性も検査が必要なため、早めに受診して一通り検査をしましょう。
 
その他に生理痛を改善する方法をブログにまとめていますので、参考にしてみてください。
 
シナモンで生理痛を改善
指圧で生理痛を改善
マッサージで生理痛を改善
 
妊娠希望がない場合
上記で説明した治療法以外にホルモン治療が選択肢となります。
 
ホルモン治療としては、ピルやジェノゲスト、ミレーナ、偽閉経治療(内服、注射、点鼻薬)が挙げられます。
 
また、手術によって症状が改善することもありますが、再発予防のためには継続してホルモン治療をお勧めします。
 
ミレーナについて
 
 

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、本来子宮の内側にある子宮内膜組織が子宮の筋肉の中にできる病気です。上で説明した子宮内膜症も子宮内膜が違う場所にできる病気ですが、子宮以外の場所にできるものを指しています。
 
子宮にできる良性の病気という点では子宮筋腫と似ています。子宮腺筋症は子宮の筋肉との境界がわかりにくくなっているのが特徴ですが、子宮筋腫は腫瘍を作っていて子宮の筋肉との境界がはっきりしているのが特徴です。
 
子宮内膜症のように強い生理痛を引きおこしたり、子宮筋腫のように生理の量が増えて(過多月経)、貧血になったりします。
 
生理以外の下腹部痛・腰痛をおこすこともあります。子宮筋腫や子宮内膜症と同じように、女性ホルモンの影響を受けて症状が酷くなりますが、閉経後には病変は小さくなり症状も消えることがほとんどです。
 

検査方法は?

内診による超音波検査で子宮が腫れていないかどうか検査します。内診検査が難しい場合には、MRIという検査で調べることも可能です。
 

治療方法は?

妊娠希望があるかどうかで大きく治療法は分かれます。
 
妊娠希望がある場合
ホルモン治療ができないため、鎮痛剤や漢方を使いながら早期妊娠を目指すことをお勧めします。妊娠しにくい原因がないかどうか、女性も男性も検査が必要なため、早めに受診して一通り検査をしましょう。
 
その他に生理痛を改善する方法をブログにまとめていますので、参考にしてみてください。
 
シナモンで生理痛を改善
指圧で生理痛を改善
マッサージで生理痛を改善
 
妊娠希望がない場合
上記で説明した治療法以外にホルモン治療が選択肢となります。
 
ホルモン治療としては、ピルやジエノゲスト、ミレーナなどが挙げられます。
 
また、手術によって症状が改善することもありますが、再発予防のためには継続してホルモン治療をお勧めします。
 
 

月経前症候群(PMS)

PMSの症状は、お腹の張り・肩こり・頭痛・むくみ・体重増加・便秘といった体の症状と、イライラ・無気力・集中力低下といった心の症状が挙げられます。イライラが強くなると、家族や職場での人間関係に影響が出ることも。
 
主に排卵後に出てくるホルモンが原因になると言われており、排卵を抑えるピルは効果的です。また、漢方薬で症状が改善することも多いです。
 

 
また、以下のように日常生活の工夫で改善することも期待できます。
 
 
PMS改善のための生活習慣~公式ブログ
・脂肪、砂糖、塩分の多い食事では、PMSのリスクが3.2倍に高くなる一方で、フルーツ摂取により、PMSのリスクが0.34倍と軽くなる。
 
 
PMSとヨガの関係~公式ブログ
・1回40分のヨガを週に3回行うことで、PMSの症状が改善する。
 
 
 
PMSとリフレクソロジーの関係~公式ブログ
・1回40分のリフレクソロジー(足つぼマッサージ)を6~10回行うことで、PMSの症状が改善する。
 
 
PMSとサプリの関係~公式ブログ
・カルシウムやビタミンDのサプリで、PMSの症状が改善する。
 

クラミジア感染症

  
日本や世界で最も多い性感染症です。子宮からお腹の中へと感染が広がると、不妊症の原因になることもあります。妊婦健診のときに必ず検査をしますが、約5%の方が感染していることがわかっています。
 
クラミジア感染が子宮に繋がっている卵管という細い管にまで広がってしまうと、癒着という状態を引きおこします。
 
癒着は、本来くっ付いていない臓器どうしがペタペタとくっ付いてしまうことを意味し、その癒着が原因で卵管の通り道が潰れてしまうと、不妊症の原因となるのです。
 
癒着そのものは、生理痛の原因となる子宮内膜症や、手術の影響でも起きうるのですが、癒着によって軽い痛みが続くこともあります。
 
癒着そのものを改善する薬はないため、一度癒着してしまった場合は、長いお付き合いをしていくことになります。
(もちろん、癒着による痛みがとても強い場合には手術をして癒着を剥がすこともあるのですが、その手術そのものが再び癒着する原因にもなりうるため、完全に痛みを取り切ってしまうのは非常に難しい話になります。)
 

症状

感染してから1~3週間ほどで症状が出ることがあります。
 
お腹の痛み、おりものの増加、不正出血、性交痛などが典型的な症状ですが、クラミジア感染者の半数以上は症状が出ないとも言われているため、疑わしいときは積極的に調べる必要があります。
 
また、男性の方もクラミジア感染による症状は比較的出にくいと言われています。排尿痛や尿道からの分泌物が疑うきっかけとなりますが、20代の無症状の男性の5%に感染が認められた、という報告もあるくらいなので、やはり疑わしい時には検査をするしかありません。
 

検査方法

主に内診で調べます。子宮の入り口を綿棒でこするだけの検査なので、痛みはほとんどありません。オーラルセックスの普及によって、子宮にクラミジアが感染していた場合、1~2割は咽頭にも同時感染していることもあるため、のどの検査も必要です。その場合は、うがいをして調べます。どちらも結果が出るのに1週間かかります。
 
内診検査にどうしても抵抗がある場合には、ご自身で採取する検査もあります。
(お手洗いで綿棒をご自身で腟内に入れていただいて採取する検査です)

クラミジアに感染している人の1割は、淋菌にも感染していると言われています。そのため、クラミジアが心配な時には淋菌の検査も受けることをおすすめします。

 

治療方法

抗生物質を処方します。1日飲んでいただくだけで治ることがほとんどですが、それでは治らないことも時々あるので、3週間後に治っているかどうか、必ず検査を受けて下さい。治っていない場合は、別のタイプの抗生物質を処方します。
 
パートナーがいる場合は、お互いがクラミジアに感染していないことが確認できるまでは、性行為は禁止になるので注意しましょう。
また、男性側の検査では尿検査しか行われないことも多く、咽頭感染が見逃されている可能性があります。必ず咽頭検査もうけてもらうようにお願いします。
 
自宅で検査を受けてもらえるキットもあるので、ご検討ください。
性感染症自己検査キット
 
 

淋菌感染症

 
クラミジアと同様に、性行為によって感染する病気で、子宮からお腹の中へと感染が広がって不妊症の原因になることもあります。また、オーラルセックスの普及により、咽頭に感染していることもあるため、咽頭の検査も必要です。

症状としては、おりものの増加、不正出血、下腹部痛などが見られますが、何も症状が出ない人も半数近くいます。一方で男性の場合は感染後数日で灼熱感のある排尿痛が出現することが多いため、比較的気づきやすい病気です。1回の性行為によって感染する確率は30%程度と言われていて、クラミジアと同様に、疑わしい場合は検査が必要です。
 

検査方法

クラミジアと同じく、内診で調べます。子宮の表面を綿棒でこすって調べるので、痛みはほとんどありません。のどの淋菌は、うがいで調べることができます。どちらも結果が出るのに1週間かかります。
子宮に感染が見つかった場合、1~3割の方は咽頭にも同時感染している可能性があるため、うたいによる咽頭検査も必要です。
また、淋菌感染した場合、2~3割の方はクラミジアにも同時感染しているため、クラミジア検査も必要です。
 
クラミジア検査同様に、内診検査に抵抗がある方には、ご自身で調べる方法もあります。
(お手洗いで、腟内にご自身で綿棒を入れていただき検査する方法です。)
 

治療方法

点滴をします。1回の治療で終了しますが、まれに薬が効かないことがあるので、治っているかどうかの確認は必ず行いましょう。
 
 

梅毒

 
スピロヘータという細菌に感染することで起こる感染症です。症状のない期間と症状のあらわれる期間が交互におとずれ、症状があらわれる度に深刻化します。


ただし、症状が全く出ない「無症候性梅毒」のこともあり、見ただけでは診断がつけられないことも多いので、心配なときはお気軽にご相談ください。
 
特に2021年以降は国内での梅毒患者数が激増しており、女性感染者では20~30代の若年層が中心となっています。
 
それに伴い、母子感染症である「先天梅毒」も増えています。2013年ころまでは年間数例だったものが、2023年には年間30例を超え、今後の増加も懸念されています。
 
・先天梅毒:胎児発育不全、小頭症、心奇形、水頭症など胎児期のリスクに加え、出生児では、難聴、失明、精神発達遅滞、白内障などの先天異常のリスクも伴います。また、無治療の場合には死産や新生児期に死亡する確率が40%近いとも言われています。
 
 
妊娠初期には血液検査で梅毒を調べる事がほとんどですが、妊娠してから梅毒を治療するより、妊娠前に治療したほうが、先天梅毒のリスクをより低くできるため、妊娠を考え始めたときには、パートナーと一緒に梅毒検査をお勧めします。
 
 
*妊娠中に梅毒を治療した場合の治癒率
 ・注射薬の場合:98.2%
 (注射後24時間以内に発熱・頭痛などインフルエンザ様症状が出る確率が40~50%あり、入院での治療が必要になる事も)
 ・内服薬の場合:86%

~梅毒合併妊娠に対する治療と先天梅毒の現状~国立感染症研究所
 

梅毒では、感染後の期間に応じて、4段階でさまざまな症状があらわれます。
 

1

(感染から約3週間後) デリケートゾーン周辺に痛みのないシコリができたり、太ももの付け根にあるリンパ腺が腫れたりしますが、それらの症状は数週間で自然に消えます。 

2

(感染から約3か月後) 全身に痒みも痛みもない発疹があらわれます。また、かたく盛り上がった赤色のイボがデリケートゾーン、手・足・顔などにあらわれ、3か月~3年ほど続きますが、自然に消えます。その後無症状の時期がしばらく続きます。

3

(感染から約3年後) 全身にシコリがあらわれ、表面のもろい潰瘍をつくります。病原体が骨まで広がると激しい痛みで眠れない日が続くこともあります。

4 

手足の感覚の喪失や、心臓や血管、脳に重度の障害が発生し、死に至ることもあります。
 

検査方法

血液検査で調べます。約1週間後に結果がわかります。
 
・疑わしい症状があれば保険診療にて3割負担で約680円(診察料別)
・自費で調べる場合は2000円
 
となります。
 

治療方法

以前は抗生物質の内服にて治療してきましたが、一度の注射にて治療できるようになりました。
治療後も、その経過を診ることが非常に大切なので、定期的に採血が必要です。
 
 

性器ヘルペス 

性行為などで性器にヘルペスウイルスが感染することにより、引き起こされる感染症のことを言います。

初めて発症する時は、かなり痛みが強く出ることがあります。皮膚がえぐれる「潰瘍」になり、歩行時・排尿時に痛みが伴います。
 
痛みがひどい時には入院が必要になる場合もあります。再発時は、なんとなく違和感を感じるものの、軽い痛みで済むことが多くなります。
 

検査方法

痛い部分を見るだけで、おおよその診断をつけることは可能ですが、判断に迷うときは痛い部分を綿棒で拭う検査をすることもあります。
 

治療方法

抗ウイルス薬を内服または点滴して治療します。それと併せて軟膏も処方することもあります。
 
しかし、一度体の中に入ったウイルスをゼロにすることは不可能です。
 
そのため、一度ヘルペスに感染してしまうと、体調を崩して免疫力が低下するときに再発するケースも少なくありません。
 
再発する時には、なんとなく違和感を覚えることが多いので、その段階で早めに受診すれば、症状を軽く抑えることもできます。

 

何度も再発してしまう方には、毎日お薬を飲み続けて、再発の確率を下げる治療法もあるので、ご相談ください。

 
 

コンジローマ

 
HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)の感染によって、陰部などにイボができる病気です。

イボができるだけで、痛みやかゆみなどの症状はあまりありません。
 

検査方法

イボを見るだけで診断がつくことが多いですが、イボを切り取って顕微鏡で見る検査をすることもあります。
 

治療方法

当院では軟膏を塗って治療しますが、治りにくい場合は、外科的にレーザーで焼くこともあります
再発しやすい病気ですので、気長に治療することが必要となります。
 
 

腟カンジダ症

カンジダとは真菌の一種で、普段は腟の中にいても何も悪さをしません。しかし、風邪や疲労などで免疫力が低下して他の正常な菌が減ってしまうと、代わりにカンジダが増えてしまってかゆみの原因になります。

デリケートゾーンがかゆくなるほか、おりものが白いポロポロした状態になります。それほどカンジダが多くないときには、白くてやや水っぽいおりものになることもあります。ひどくなると、デリケートゾーンの肌が真っ赤に荒れてしまい、痛みも伴います。何度も再発しやすいのが特徴ですが、完全に再発を防ぐ方法は今のところありません。

乳酸菌を積極的に摂取すれば、再発のリスクを下げられる可能性はあります。ヨーグルトなど摂取を心掛け、それでも厳しい場合は乳酸菌の錠剤(1か月2,500円)も取り扱っていますので、ご相談ください。
 

検査方法

内診にて、腟分泌液を採取して検査をします。カンジダが明らかな場合は、当日お薬を処方します。
 

治療方法

抗真菌剤(腟錠や内服薬)やクリームを処方します。
 

腟カンジダの再発予防についての論文
Randomised clinical trial in women with Recurrent Vulvovaginal Candidiasis: Efficacy of probiotics and lactoferrin as maintenance treatment.

こちらの論文ではカンジダ腟炎を繰り返す48人の女性を2つのグループに分けて検討しています。
全員に一般的なカンジダ治療薬を使った後、一方のグループにはプラセボ(何の治療効果もない錠剤)を内服してもらい、もう一方のグループには乳酸菌とラクトフェリンの含まれる錠剤を内服してもらいました。
その結果、最初のカンジダ治療薬で症状が改善した後、半年間での再発率は乳酸菌・ラクトフェリンのグループが明らかに低くなったのです。
3ヶ月経後した時点で比較すると、乳酸菌・ラクトフェリングループの再発率33.3%に対して、プラセボは再発率91.7%
6ヶ月過後した時点で比較すると、乳酸菌・ラクトフェリングループの再発率29.2%に対して、プラセボは再発率100%
という結果になりました。
このように、カンジダの再発をかなりの確率で予防することができると言えます。
対象となった方の人数が48人と非常に少ないのですが、乳酸菌やラクトフェリンは副作用もなく摂取できると思うので、カンジダの再発で悩んでいる方は、一度お試しください。

 

バルトリン腺

 
「腟の近くにしこりができて痛い」という症状の原因としてバルトリン腺膿瘍というものが考えられます。バルトリン腺というのは、腟の近くにある組織で、透明の粘液を分泌し、外陰部を潤す役目があります。腟の入り口近く、お尻に近い方の左右にバルトリン腺はあります。
 
炎症などが原因でバルトリン腺の入り口が閉鎖すると、分泌液が溜まり嚢胞を形成し、バルトリン腺嚢胞となります。 嚢胞に何らかの菌が感染するとバルトリン腺膿瘍となり、腫れて痛みを伴うため、治療が必要になります。 以前は性行為感染症のやクラミジアや淋菌が多かったのですが、最近では大腸菌など、比較的どこにでもいる菌が多くなっています。
 

症状

「バルトリン腺嚢胞」
小指くらいの大きさから鶏の卵くらいまで大きくなることもあります。 バルトリン腺嚢胞の場合は違和感程度で痛みを伴うことはありません。
「バルトリン腺膿瘍」
バルトリン腺に感染が起きると、強い痛みを伴い、歩くのも辛くなる場合があります。 自然に破裂して膿が出てくることもありますが、痛みがつらい時には治療が必要です。
 

治療方法

小さいバルトリン腺嚢胞で、違和感や痛みが無ければ経過観察することが多くなります。
バルトリン腺嚢胞が感染して、バルトリン腺膿瘍となった場合には治療が必要です。
 

穿刺 針で穿刺し内容物を吸引します。

 費用 3割負担にて、約5,000
 

造袋(開窓)術  麻酔後、切開して穴をあけ、分泌物の通り道を作ります。

 費用  3割負担にて、約12,000
 

嚢胞摘出術 

バルトリン腺そのものを摘出します。入院が必要になるので、総合病院にご紹介いたします。
 
針で刺すだけであれば、数分で一番安く済むのですが、その代わりに再発率も高くなってきます。
そのため、再発を繰り返す場合には、造袋術(開窓術)をオススメすることになります。
 
造袋術(開窓術)を行っても再発してしまう場合には、摘出術となることが多いのですが、負担も大きくなるため、「カテーテル法」を試してみるのも選択肢となります。
 

カテーテル法 

造袋術(開窓術)の再発原因は、手術によって作った通り道が塞がってしまうことによるので、通り道が塞がらないように細い管(カテーテル)を留置する方法となります。
 
ピアスの穴が固定するようなイメージなので、1か月以上、小さなカテーテルがバルトリン腺の部分に残ることになります。
 
費用は、造袋術(開窓術)と同じで、5,000円前後(3割負担)となります。
 

トリコモナス

カンジダと同様にデリケートゾーンの強い痒みの原因となる事があります。カンジダに比べれば、かなり稀な感染症ですが、トリコモナスに対する治療薬を使う必要があるので、痒みが強い時にはご相談ください。
 

検査

おりもの検査によって、1週間後には結果が出ます。
 

治療

内服薬で治療します。内服薬は1日飲めばいいタイプがありますが、治ったかどうかを確認するためには、次回生理の後におりもの検査をする必要があります。
 
トリコモナス感染が癌のリスクになる?~公式ブログ~

トリコモナスに感染した8,518人を調べたところ、HPVというウィルスに感染しているリスクが1.79倍、高度異形成になるリスクが2.34倍、子宮頸がんになるリスクが5.23倍となっていました。
 
HPVというウィルス自体は、性行為によって非常に高確率で感染するものではありますが、高度異形成・子宮頸がんに関しては定期的な検査が必要となります。
 
過去にトリコモナスに感染したことのある方は、定期的な婦人科健診を受けるようにしてください。