東日本橋レディースクリニック

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子宮頸がん・子宮頸部異形成

 

子宮頸がんについて
子宮頸部異形成について

子宮頸がん

 
婦人科のがんで最も多い子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。

子宮頸がんは、腟の奥の子宮頸部とよばれる部分に出来る癌です。子宮頸がんになる前の「異形成」という段階で早期に発見すれば比較的治療しやすいのですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要といえます。
 

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)

 
子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しています。

HPVは、性交渉で感染するウイルスです。子宮頸がんの患者さんの90%以上からHPVが検出されます。
 
HPV感染そのものは珍しい事ではなく、感染するだけでは何も問題は起きません。感染した方の中で、一部の方に異形成と呼ばれる子宮頸がんの前がん病変や、子宮頸がんが発生すると考えられています。
 
また、喫煙も子宮頸がんの危険因子です。
 
子宮頚がんになる確率を下げるためには、初めての性行為の前にHPVワクチンを接種しておくことが大切です。
 
ご年齢によっては、お住いの自治体にて無料で接種できる医療機関を案内しているので、ご確認ください。
 
無料で接種できる年代ではない方には、当院でも接種可能ですので、ご相談下さい。
 

また、以前にHPVワクチンを受けた、という方であっても、癌にならない訳ではないので、定期的な子宮頸がん検診も受けるようにしてください。
 
 

頚部異形成

 
子宮頸がん検診の結果は大きく分けて「正常」「異形成」「癌」の三つに分けられます。正常な方がいきなり癌になる訳ではなく、異形成という段階を経て、何年もかけて癌になる事があるのですが、異形成という状態も「軽度」「中等度」「高度」の3段階に分かれています。
 

軽度異形成

60%の方は1~2年以内に自然に良くなり、10%の方が中等度異形成に進みます。(20代の方であれば90%は自然に良くなります)そのため、治療せずに経過観察することが多いです。ハイリスクのHPVに感染している場合には4~6カ月ごと、感染していない場合には1年ごとに経過を診ます。
 
ご希望の方には、「フェノール」という薬品を月に1回塗布する治療法も行っています。8割の方が半年ほど、残りの2割の方が1年ほど、平均すれば4ヶ月ほどで正常に戻ると言われている治療法です。重い副作用もなくできる治療法ですので、ご希望の方は出血していない時に院長外来をご予約の上、ご来院ください。(妊娠への影響が不明の為、妊活中の方は治療できません)
 
 

葉酸による効果

妊娠前に摂取することで赤ちゃんの奇形の確率を下げられる「葉酸」ですが、異形成に対する効果を報告する論文がいくつかあります。
 
・軽度異形成の方が葉酸1日5mg摂取することで、半年で83%が改善(プラセボ群の改善は52%)
 
・中等度/高度異形成の方が葉酸1日5mg摂取することで、3か月後の異形成再発率が3.3%(プラセボ群では16.7%)
 

 
以上のことから、葉酸を1日5mg摂取することで、異形成の改善に好影響を及ぼす可能性があります。
 
 
市販の葉酸サプリでは1日0.4~0.8mgの商品が多いのですが、1日5mg摂取できる錠剤(3か月分で4,500円)の取り扱いもあるので、院長外来までご相談下さい。
 
 

葉酸摂取量について
 
葉酸摂取量は、1日1mgが上限と定められているのですが、その理由として「悪性貧血」という名前の貧血に影響する可能性が挙げられます。
 
悪性貧血では、葉酸だけではなく、ビタミンB12も低下することがあり、葉酸だけを摂取すると、ビタミンB12の低下が隠されてしまいます。そのままビタミンB12の低下だけが続くと、それによる神経障害が進行してしまうため、葉酸を補充する場合には、ビタミンB12の濃度を血液検査でフォローする必要があります。

 
 

中等度異形成

40%の方は1~2年以内に自然に良くなり、20%の方が高度異形成に進みます。ハイリスクのHPVに感染している場合には3カ月ごと、感染していない場合には半年ごとに経過を診ます。
 
 
 

高度異形成

この場合は、中には癌が含まれている可能性も出てくるため、治療対象となってきます。治療法には、大きく分けて「円錐切除」と「レーザー蒸散」の二つに分かれます。(高度異形成の方はフェノール療法に対応していません)
 
円錐切除では、将来的な妊娠時の早産リスクが上がる可能性があり、妊娠希望のある方はレーザー蒸散がお勧めです。
(病変部が全て確認できない場合はレーザー蒸散が行えません)
 

レーザー蒸散

 
子宮頚部の病変を含む部分をCO2レーザーにて蒸散します。悪い細胞を焼き飛ばすイメージです。
 
 

手術の流れ

・手術の15~30分前に痛み止めの座薬を使います。手術時間そのものは10分前後です。
・痛みはほとんどなく、麻酔なしで施行可能ですが、痛みがある場合は局所麻酔を追加いたします。
・手術の30分後に止血の確認をして終了です。
 
 

術後の注意点

・1か月間は性行為禁止です。
・水っぽい帯下や少量の出血が1か月程続くことがあります。
・術後2週間で診察し、さらに1か月後に子宮頸がん検査で治癒確認を行います。
 

費用

保険適応(3割負担)にて、約12,000円ほどになります。(保険診療の為、全国共通の値段です)
 
 

ご予約

処置前の採血検査が必要なため、ご都合の良い日時でのWEB予約をお願いします。
 
 

生活上の注意点

異形成は自然によくなることも多いのですが、良くなりにくい要因として「喫煙」があります。受動喫煙も同じことなので、周囲の方も含めて禁煙を心がけましょう。
 
また、日ごろの食生活では果物や野菜を摂る量が少ないと、リスクが4~5倍になる可能性があるので、食生活を見直すことも始めてみましょう。
 
子宮頸がんを予防するための食生活
 

異形成の再発予防に

レーザー蒸散など外科的治療を行った後にHPVワクチンを接種することで、異形成の再発リスクが下がった報告があります。
 
この報告によれば、異形成の再発リスクが
 
・軽度異形成:0.45倍
・中等度異形成:0.33倍
・高度異形成:0.28倍
 
と低くなっており、異形成治療後にワクチン接種するメリットは大きいようです。まだ、HPVワクチンを接種したことがなく、異形成を治療した方は接種をご検討ください。
 

異形成再発予防のHPVワクチンについて~公式ブログ