梅毒
スピロヘータという細菌に感染することで起こる感染症です。症状のない期間と症状のあらわれる期間が交互におとずれ、症状があらわれる度に深刻化します。
ただし、症状が全く出ない「無症候性梅毒」のこともあり、見ただけでは診断がつけられないことも多いので、心配なときはお気軽にご相談ください。
特に2021年以降は国内での梅毒患者数が激増しており、女性感染者では20~30代の若年層が中心となっています。
それに伴い、母子感染症である「先天梅毒」も増えています。2013年ころまでは年間数例だったものが、2023年には年間30例を超え、今後の増加も懸念されています。
・先天梅毒:胎児発育不全、小頭症、心奇形、水頭症など胎児期のリスクに加え、出生児では、難聴、失明、精神発達遅滞、白内障などの先天異常のリスクも伴います。また、無治療の場合には死産や新生児期に死亡する確率が40%近いとも言われています。
妊娠初期には血液検査で梅毒を調べる事がほとんどですが、妊娠してから梅毒を治療するより、妊娠前に治療したほうが、先天梅毒のリスクをより低くできるため、妊娠を考え始めたときには、パートナーと一緒に梅毒検査をお勧めします。
*妊娠中に梅毒を治療した場合の治癒率
・注射薬の場合:98.2%
(注射後24時間以内に発熱・頭痛などインフルエンザ様症状が出る確率が40~50%あり、入院での治療が必要になる事も)
・内服薬の場合:86%
~梅毒合併妊娠に対する治療と先天梅毒の現状~国立感染症研究所
梅毒では、感染後の期間に応じて、4段階でさまざまな症状があらわれます。
第1期
(感染から約3週間後) デリケートゾーン周辺に痛みのないシコリができたり、太ももの付け根にあるリンパ腺が腫れたりしますが、それらの症状は数週間で自然に消えます。
第2期
(感染から約3か月後) 全身に痒みも痛みもない発疹があらわれます。また、かたく盛り上がった赤色のイボがデリケートゾーン、手・足・顔などにあらわれ、3か月~3年ほど続きますが、自然に消えます。その後無症状の時期がしばらく続きます。
第3期
(感染から約3年後) 全身にシコリがあらわれ、表面のもろい潰瘍をつくります。病原体が骨まで広がると激しい痛みで眠れない日が続くこともあります。
第4期
手足の感覚の喪失や、心臓や血管、脳に重度の障害が発生し、死に至ることもあります。
検査方法
血液検査で調べます。約1週間後に結果がわかります。
・疑わしい症状があれば保険診療にて3割負担で約680円(診察料別)
・自費で調べる場合は2000円
となります。
治療方法
以前は抗生物質の内服にて治療してきましたが、一度の注射にて治療できるようになりました。
治療後も、その経過を診ることが非常に大切なので、定期的に採血が必要です。
注射による治療後数時間で、梅毒が破壊されることによる発熱や筋肉痛など、インフルエンザのような症状がでることがあります。薬が効いている証拠なので、問題ありませんが、事前に解熱剤を内服するなどして、対応しましょう。