東日本橋レディースクリニック

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PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)

 

多嚢胞性卵巣症候群 (polycystic ovary syndrome : PCOS)とは、  
 
「両側の卵巣が腫大・肥厚・多嚢胞化し、月経異常や不妊に多毛・男性化・肥満などを伴う症候群」  
 
と定義されています。  
 
女性の約510%にみられ、生理不順や不妊症の原因となっています。
 
液体で満たされた袋状の卵胞が卵巣に多数生じ、超音波検査では卵巣内に黒い袋が多数並んで見えるのが特徴の一つです。  
 
その他の診断基準として、生理不順や血液中のホルモン異常が挙げられます。 
 
 
ニキビの原因となる事もあります。
 
ニキビ治療について
 
 
妊娠希望の有無により治療方針は異なりますが、日常生活での注意点としては、肥満の方であれば、ゆっくりと減量する事で、徐々に排卵のリズムが整ったり、ビタミンDのサプリを内服することで改善する事もあります。  
 
ビタミンDとPCOSの関係について~公式ブログ
 

妊娠を希望していない場合

 
低用量ピル等のホルモン剤で定期的に出血を起こすのも一つの選択肢です。  
 
低用量ピルについて
 
低用量ピルが副作用などで飲めない場合には、デュファストンという薬で生理のリズムを整える事も可能です。
 
このデュファストンという薬は、排卵した後に分泌される黄体ホルモンです。
 
そのため、これを飲むことで、排卵してなくても排卵した後の状態を作り出すことができ、生理のリズムを整える事ができます。
 
デュファストンは、厚くなった子宮内膜を剝がすことで、生理が来る薬となるため、内膜が厚くなっていない場合は、デュファストンを飲んでも生理が来ません。その場合は、自然に内膜が厚くなるのを待ってから、再度デュファストンを内服することになります。
 
 
3ヶ月以上生理が来ていないと、子宮体癌のリスクになり得るので、長期間生理が来ていない方はご相談ください。
  
 

妊娠を希望している場合

 
排卵誘発剤を内服して排卵を促したり、効果は落ちますが漢方薬を試す事もあります。  
 
 

診断基準

 
少し細かい話となりますが、2024年にPCOSの診断基準が以下のように変更になりました。  
 
1.月経周期異常  
 
2.多嚢胞性卵巣またはAMH高値  
 
3.アンドロゲン過剰またはLH高値  
 
以上を全て満たした場合にPCOSの診断となります。  
 
 
多嚢胞性卵巣少なくとも一方の卵巣で直径29mmの小卵胞を10個以上認める(超音波検査での所見)  
 
AMH高値: 2029歳では4.4or4.03039歳では3.1or2.8(検査会社によって異なります)  
 
アンドロゲン過剰血中テストステロン基準値以上もしくは以下に示す多毛スコアで6点以上  
 
LH高値: LH基礎値高値(7.1or9.9)かつLH/FSH比高値(1.21or1.51) これも検査会社によって異なります。BMI: 25以上ではLH/FSH比高値のみでも可  
 
18歳未満の方では、2.を用いず、1.3.を満たした場合に「PCOS疑い」、1.3.のいずれかを満たした場合に「PCOSリスク」と評価します。また、初経後1年未満では生理不順になる事が非常に多いため、1.の項目は判断に用いません。