妊娠糖尿病(GDM)
妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見される糖代謝異常で、妊婦さんの10%近くが診断される決して珍しくない状態です。
お母さんの血糖値が高いと、赤ちゃんも血糖値が高くなり、以下のような合併症が起こる可能性があります。
- お母さん
妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産など - 赤ちゃん
流産、巨大児、低血糖、胎児死亡など
診断方法
妊娠初期の妊婦健診で血糖値を計測し、基準値を超える場合にはブドウ糖負荷試験をして診断します。
※ブドウ糖負荷試験: 甘い炭酸水を飲んでもらい、1時間後と2時間後の血糖値を計測します。
飲む前:92mg/dl 、1時間後:180mg/dl、2時間後:153mg/dl という基準値を一つでも超えると妊娠糖尿病の診断となります。
妊娠初期の検査で大丈夫でも、妊娠週数が進むにつれて、血糖を下げるインスリンの働きが弱くなるため、妊娠中期にもう一度検査をします。
妊娠糖尿病と診断されたら
血糖値の目標を食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満にします。
普段の食事でどのような血糖値になっているかを調べ、場合によっては、4~6分割食にして血糖値をコントロールします。
食事を食べる順番も注意が必要です。いきなり炭水化物を摂取すると血糖値が急激に上昇するため、最初はスープやサラダ、次に魚や肉などのたんぱく質、最後に炭水化物を食べることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
それでもコントロールできない場合は、インスリン注射を用いる事もありますが、産後には減量あるいは中止できる事がほとんどです。
分娩施設によっては、妊娠糖尿病があると出産できないというところもあるので、診断がついたら分娩施設に連絡するようにしましょう。
出産後の注意点
産後、再びブドウ糖負荷試験をして、妊娠糖尿病が治っているかどうか評価する必要があります。
妊娠糖尿病が治ったとしても、妊娠糖尿病のなかった人に比べ、将来糖尿病になるリスクが約7倍になると言われています。産後も定期的な健診を受けましょう。