検診で指摘された方へ
子宮頸がん・子宮頸部異形成について
01子宮頸がん
婦人科のがんで最も多い子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮頸がんは、腟の奥の子宮頸部とよばれる部分に出来る癌です。子宮頸がんになる前の「異形成」という段階で早期に発見すれば比較的治療しやすいのですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要といえます。
子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)
子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しています。HPVは、性交渉で感染するウイルスです。子宮頸がんの患者さんの90%以上からHPVが検出されます。
HPV感染そのものは珍しい事ではなく、感染するだけでは何も問題は起きません。感染した方の中で、一部の方に異形成と呼ばれる子宮頸がんの前がん病変や、子宮頸がんが発生すると考えられています。また、喫煙も子宮頸がんの危険因子です。
02子宮頸部異形成
子宮頸がん検診の結果は大きく分けて「正常」「異形成」「癌」の三つに分けられます。正常な方がいきなり癌になる訳ではなく、異形成という段階を経て、何年もかけて癌になる事があるのですが、異形成という状態も「軽度」「中等度」「高度」の3段階に分かれています。
経過観察が基本の段階
20代の方であれば90%は自然に良くなります。そのため、治療せずに経過観察することが多いです。ハイリスクのHPVに感染している場合には4〜6カ月ごと、感染していない場合には1年ごとに経過を診ます。
ご希望の方には、「フェノール」「トリクロロ酢酸(TCA)」という薬品を月に1回塗布する治療法も行っています。
8割の方が半年ほど、残りの2割の方が1年ほど、平均4ヶ月ほどで正常に戻ります。
1度の塗布で5〜8割の方が改善するデータが確認されています。詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
生活習慣・栄養との関係
異形成の経過には、日頃の生活習慣も関係していることが研究で示されています。詳しいデータは以下の記事でご紹介しています。
▲ 目次に戻る経過観察の間隔がやや短くなる段階
ハイリスクのHPVに感染している場合には3カ月ごと、感染していない場合には半年ごとに経過を診ます。
治療対象となる段階
高度異形成は、中には癌が含まれている可能性も出てくるため、治療対象となります(フェノール療法には対応していません)。当院では、CO2レーザーで病変部を蒸散させる「レーザー蒸散」を行っています。病変部の全体が確認できない場合など、円錐切除が適していると判断されるケースもあり、その際はご相談のうえ、円錐切除に対応した連携医療機関をご紹介しています。
手術の流れ
- 手術の15〜30分前に痛み止めの座薬を使います。手術時間そのものは10分前後です。
- 痛みはほとんどなく、麻酔なしで施行可能ですが、痛みがある場合は局所麻酔を追加いたします。
- 手術の30分後に止血の確認をして終了です。
術後の注意点
- 1か月間は性行為禁止です。
- 水っぽい帯下や少量の出血が1か月程続くことがあります。
- 術後2週間で診察し、さらに1か月後に子宮頸がん検査で治癒確認を行います。
生活上の注意点・再発予防
異形成は自然によくなることも多いのですが、良くなりにくい要因として「喫煙」があります。受動喫煙も同じことなので、周囲の方も含めて禁煙を心がけましょう。また、日ごろの食生活で果物や野菜を摂る量が少ないと、リスクが4〜5倍になる可能性があるので、食生活を見直すことも始めてみましょう。
レーザー蒸散などの治療を行った後にHPVワクチンを接種することで、異形成の再発リスクが下がった報告もあります。まだHPVワクチンを接種したことがなく、異形成を治療した方は接種をご検討ください。
▲ 目次に戻る※本ページの内容は、公益社団法人 日本産科婦人科学会等が示す最新のエビデンスをもとに、当院院長が監修しています。個々の症状・治療方針については、必ず診察の上でご相談ください。
子宮頸部異形成に関するよくあるご質問
原因・症状・検査・治療について患者様からよくいただくご質問です
子宮頸部異形成とはどのような病気ですか。がんなのですか。
子宮頸部異形成ができる原因は何ですか。
どのような症状がありますか。おりものの変化などで気づくことはできますか。
異形成にはどのようなステージ(進行度・軽度〜重度)がありますか。
子宮頸がん検診で「異常あり」と言われました。次に行う精密検査はどのようなものですか。
HPVタイピング検査(ウイルス型検査)とは何ですか。受ける必要はありますか。
子宮頸部異形成と診断されたら、必ず手術が必要ですか。どのような治療を行いますか。
高度異形成(CIN3)の場合に行う手術とは、どのようなものですか。
将来、子どもを産むこと(妊娠・出産)への影響はありますか。
一度異形成が治ったあと、再発することはありますか。予防法はありますか。
※当院の子宮頸部異形成に関する診療、精密検査(コルポスコープ・組織診)、および経過観察・治療方針は、公益社団法人 日本産科婦人科学会および一般社団法人 日本婦人科腫瘍学会が策定する「子宮頸がん治療ガイドライン」等の最新の医学的エビデンスに準拠しています。検診で再検査となった患者様の不安に寄り添い、丁寧で痛みに配慮した専門的な管理を行っています。