エビデンスに基づく医療情報
子宮頸部異形成 治療後のHPVワクチン接種による再発予防効果
2つの研究データで見る
中等度・高度の子宮頸部異形成を治療した後、HPVワクチンを接種することで再発を防げるのでしょうか。2020年と2024年に発表された2つの研究データをもとにご説明します。
01接種のタイミングと基本的な考え方
子宮頸がんの原因となるHPVは性行為によって感染するため、理想としては初めて性行為をする前、中高生の段階でワクチンを接種するのが最も効果的とされています。では、すでに性行為を経験した後や、HPVにすでに感染した後では、ワクチンの意味はないのでしょうか。ここでご紹介する2つの研究は、すでに異形成と診断されて治療(外科的切除)を受けた方を対象に、その後のHPVワクチン接種が再発を防げるかどうかを検証したものです。
02研究1:2,984人を対象とした検証(2020年)
異形成に対して外科的切除を行った女性2,984人のうち、1,360人(45.6%)が治療後にHPVワクチンを接種し、1,624人(54.4%)はプラセボ注射または切除のみで経過観察されました。6〜48ヶ月の追跡期間中に、115人(3.9%)に中等度以上の異形成の再発が認められました。
ワクチン接種によって、中等度以上の異形成の再発リスクは36%に、軽度以上の異形成の再発リスクは67%に減少していました。さらに、子宮頸がんの原因として最も確率の高いHPV16型・18型に限定して見ると、再発リスクは41%に抑えられていました。
03研究2:21,472人を対象としたメタアナリシス(2024年)
より対象人数の多い研究として、異形成の患者さん21,472人を対象に、外科的治療のみを行った17,340人と、治療前後にHPVワクチンを接種した4,132人を比較し、再発率を検証したメタアナリシスがあります。
いずれの段階でも、HPVワクチン接種群の方が再発率が低い結果でした。あわせて、同じくHPVが原因とされる呼吸器乳頭腫症や肛門上皮内腫瘍のリスクも低下していましたが、尖圭コンジローマや外陰上皮内腫瘍については、ワクチン接種による再発リスクの変化は見られませんでした。
当院での考え方
異形成の治療(レーザー蒸散)を受けられた方で、まだHPVワクチンを接種されていない場合は、再発予防の観点から接種をご検討いただくことをおすすめしています。ワクチンにはすでに生じている異形成そのものを治療する効果はありませんが、治療後の再感染・再発を防ぐ効果が期待できます。接種のタイミングや適応については、診察の際にご相談ください。
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- Adjuvant Human Papillomavirus Vaccine to Reduce Recurrent Cervical Dysplasia in Unvaccinated Women: A Systematic Review and Meta-analysis - PubMed
- HPV Vaccination after Primary Treatment of HPV-Related Disease across Different Organ Sites: A Multidisciplinary Comprehensive Review and Meta-Analysis - PubMed
※本記事の内容は、公益社団法人 日本産科婦人科学会等が示す最新のエビデンスをもとに、当院院長が監修しています。個々の症状・治療方針については、必ず診察の上でご相談ください。