東日本橋レディースクリニック

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早産を予防するために

早産リスクを下げるために、妊娠前からできる事、妊娠中から心がけたいことがあります。
 

妊娠前からできること

 
乳酸菌
 

妊娠してから心がけたいこと

 
マウスウォッシュ
 
オメガ3脂肪酸

乳酸菌

早産の患者さんでは腸管内のクロストリジウムという細菌の少なさと、ラクトバシラスという細菌の多さが指摘されています。
 
ラクトバシラスは乳酸菌の一種で、早産予防に効果がある可能性が指摘されています。
 
早産予防のための乳酸菌:公式ブログ
 
対象
5232件の出産のうち、早産リスクの高い121名
(早産リスクの高い人とは、20週以前に頸管長が短くなった人、12週以降に流産した経験のある人、36週以前に早産となった経験のある人です。)
 
妊娠12週くらいから分娩まで、毎日3〜6gの「ビオスリー」を継続して内服してもらいました。
121人の妊婦さんのうち、内服したグループが45名、内服しなかったグループが76名でした。
 

ビオスリー 日本でも整腸剤として処方されることの多い、乳酸菌を含んだ薬です。

 
結果
平均出産週数: 内服群で36.8週、非内服群で34.6週
32週以前の早産率: 内服群で2.2%、非内服群で25.0%
 
このように、早産リスクの高い人では、ビオスリーを内服することで、早産のリスクを減らせる可能性があります。

マウスウォッシュ

 
歯周病が早産リスクとなるため、歯周病治療に加えてマウスウォッシュを併用することで、早産リスクが減らせる報告があります。
 
早産と歯周病に関する論文
 
対象 12の研究での5,735人の妊婦さん
 
コントロール群:妊娠中の歯周病治療もマウスウォッシュも無し
 
治療群:全員が歯石除去による歯周病治療
・2,570人はクロルヘキシジンによるマウスウォッシュを併用
・3,183人はマウスウォッシュの併用なし
 
 
結果
 
歯周病治療に加えてクロルヘキシジンによるマウスウォッシュを併用した場合
・早産率: 0.56倍
・2500g以下で生まれる低出生体重: 0.47倍
 
一方で、歯周病治療のみでは、早産率: 1.03倍、低出生体重: 0.82倍と、大きな違いはありませんでした。
 
 
 
以上の事から、歯周病治療だけではなく、クロルヘキシジンによるマウスウォッシュも併用することで早産率を下げられる可能性があります。
 
 

妊娠中のクロルヘキシジンに関する安全性について

「60匹の妊娠ラットに対して、10, 25または50mg/kgのグルコン酸クロルヘキシジンを経口投与し、催奇形性を検討した。同産仔の大きさ、吸収、胚の発達、死産は対照群と変わりなかった。」
とされています。
 
体重あたり10mgですから、人間に換算すると50kgの人が500mgのクロルヘキシジンを内服した場合になります。
 
薬用マウスウォッシュ:コンクールF
 
市販のクロルヘキシジンで見てみると、こちらの商品だと、0.05%のクロルヘキシジンが含まれているので、1本100mlあたり0.05g=50mg含まれている事になります。
 
つまり、この商品を10本飲んでも奇形の原因にはならないだろう、という事が言えます。

オメガ3脂肪酸

 
主に魚に豊富に含まれる「オメガ3脂肪酸」、具体的にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という名前で有名な栄養素ですが、これらの摂取量が少ないと早産リスクが高くなるデータがあります。
 
 
具体的には、DHA摂取量が1日150mg以下の女性では、DHAサプリによって早産リスクが下がると言われています。
 
 
オーストラリアやポーランドでは、積極的にオメガ3脂肪酸の摂取が推奨されていて、魚からの摂取量が少ない場合は、DHA・EPAのサプリメントが勧められています。
 
・オーストラリア
1日800mgのDHAと1日100mgのEPAが推奨
 
・ポーランド
最低でも1日200mgのDHA、あまり魚を摂らない人はより高用量、早産リスクの高い人は1日1000mgのDHAが推奨
 
 
サプリ摂取時期に関しては、妊娠20週より前から始めて、妊娠36週頃まで勧められています。
 

 
以上が海外でのデータとなります。
 
一方、日本では日常的に魚の摂取量が多く、平成19年から23年までの国民健康・栄養調査の結果から算出された妊婦さんのオメガ3脂肪酸摂取量の中央値は1,800mg/日と、諸外国に比べれば比較的多い結果となっています。
 
 
日常的に魚を摂取する習慣があれば、サプリで補うほどの必要性はないと考えられるので、食生活の部分で見直してみてください。
 
魚の摂取で気を付けたいのは、お刺身による食中毒と、魚に含まれる水銀量。
 
食中毒に関しては、できれば火の通った魚がオススメです。
魚に含まれる水銀量に関しては、魚の種類と摂取量に少し気を付けましょう。
 
具体的な魚の種類・量に関しては、以下の厚労省のサイトをご確認下さい。
 
 
 

妊娠中の様々な症状について

つわり

つわりは、妊娠初期に多く発生し、通常は妊娠8週から12週頃にピークを迎えます。しかし、個人差が大きく、つわりの症状が出る時期や期間は人それぞれです。
 
また、つわりの症状が軽い場合は妊娠初期に終わることが多いですが、つわりの症状が重い場合は妊娠後期まで続くこともあります。
 
つわり症状がきつくて仕事を休みたい場合には、母性健康管理カードという診断書を記載することが可能です。
こちらは、つわり以外にも様々な妊娠中の体調不良について、休職や時短勤務などの必要性を記載することが可能なため、体調不良にてお困りの場合はご相談下さい。
 
母性健康管理カードについて
 

つわり対策

・ショウガやビタミンB6のサプリを試してみましょう
他にもカモミールやザクロ、ミント、レモンなども試してみると、症状が良くなる可能性があります。ビタミンB6や嘔気止めは、処方薬でもありますので、ご相談ください。
つわり対策について:公式ブログ
 
・ツボを押してみましょう
手首にある「内関」というツボを押してみましょう。内関は、手のひらを上に向けた時に、手と手首の境目にあるしわの真ん中から、指3本分だけひじの方へ進んだところにあります。
内関を押した時の効果について:公式ブログ
 
内関の他に効果があるツボとしては、みぞおちのあたりにある「幽門」も試してみましょう。
幽門について:公式ブログ
 
 

便秘

 
妊娠初期には便秘と下痢を繰り返しやすいのですが、徐々に便秘がちになってきます。
 
本当に便秘が酷くなると、救急車を呼ぶほど激しい腹痛が起きることもあるため、しっかりコントロールすることが大切です。
 
食事でコントロールが難しい場合は、酸化マグネシウムという薬を処方することが多く、これだけで便通が良くなることがほとんどです。
 
 
 

頭痛

 
もともと頭痛もちの方も多いのですが、妊娠中に内服できる鎮痛剤としてはアセトアミノフェンを処方しています。
 
また、気圧の変化で頭痛が起きる方には、五苓散という漢方が効くこともあります。
 
妊娠中の頭痛の原因が血圧から来ていることもあるため、頭痛が起きる時には血圧も測るようにしましょう。