不妊症とは
赤ちゃんを望んで避妊をせずに性生活を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠にいたらない状態を不妊症と言います。
割合は?
タイミングが合えば1回の排卵で20〜25%の確率で妊娠するといわれており、実際1〜2年のうちに約90%の方が妊娠に至ります。そのため、およそ10組に1組が不妊症と考えられます。
主な原因は?
不妊の原因はいろいろありますが、男女別の分類では女性のみに原因があることが4割、男性のみに原因があるのが2~3割、双方に原因がある場合が2~3割です。
不妊は、女性側の問題と考えられがちですが、男女双方に原因がある割合を加えると約半数で男性にも原因があります。
根本となる原因を見つけることが一番の近道です。
検査はお二人で受けられるのが効率的ですが、男性だけ、もしくは女性だけでも大丈夫です。
検査まで踏み切れないという方は、ご相談だけでも大丈夫です。
男性の原因
男性側の原因としては、ほとんどが精子の異常であり、これは精液検査で簡単に調べることが可能です。上でも説明したように、不妊の原因の半数には男性が関わっているため、精液検査も早い段階で調べることをお勧めします。
最新の検査機器を導入し、当日結果説明が可能です。
詳細はこちらをご覧ください。
精液検査について
費用
自費 6,000円(税込)
※診察時間内でしたら受付可能です。事前に検査用のカップをお渡しいたしますので、予約なしでカップを取りにお越しください。同意書があれば、ご本人の受診がなくても、パートナーの方への結果説明が可能です。
女性の原因
ホルモンの異常:血液検査にてホルモンの値を調べます。(保険診療にて約5,000円)
脳から卵巣を刺激するために、LHとFSHという2種類のホルモンが分泌されています。
FSH(卵胞刺激ホルモン):卵巣の中にある卵胞を発育させます。
LH(黄体化ホルモン):発育した卵胞に働いて排卵を促します。
このLHとFSHというホルモンのバランスが崩れている時によく見つかるのは、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)という状態です。PCOSは、卵巣の中に沢山の卵胞があり、どれも発育できず、排卵が障害されて不妊の原因となったり、生理不順の原因となります。
根本的な治療法がないため、排卵誘発剤を使って排卵の確率を上げていくことになります。
ビタミンDのサプリで改善できる可能性もあります。
PCOSに対するサプリの効果
このほかにも甲状腺というノドにある臓器から出てくるホルモンや、授乳の時に高くなるプロラクチンというホルモン、血糖値などが影響して不妊となっている可能性もあるため、一通り採血で調べます。
子宮の異常:エコー検査(保険診療にて約1,500円)
子宮筋腫の位置や子宮内膜症、子宮腺筋症によって不妊の原因になることがあります。
卵管の異常
子宮から卵巣へと通じる非常に細い管である卵管の通過障害があると不妊の原因となります。
卵管が閉塞する原因としては、性感染症や子宮内膜症などが挙げられます。
※卵管通水検査
子宮内に生理食塩水を流して、卵管が通っているかどうかを超音波検査にて確認します。事前にクラミジア・淋菌感染症の検査が必要なため、ご希望の場合は、出血していないタイミングでご予約の上、ご来院ください。(他院で検査済でしたら、その結果用紙をお持ちいただければ大丈夫です)
原因不明
様々な検査をしても特に何も見つからず、原因不明の不妊症という場合もあり、不妊症全体の1~3割の方が当てはまります。
妊娠を考え始めたら
葉酸サプリを摂りましょう
赤ちゃんの奇形の一つである「二分脊椎」という病気の確率を下げるためには、妊娠前から葉酸のサプリを摂取してもらう必要があります。
妊娠に気付いてから摂取していたのでは遅すぎて効果がないため、妊娠を考え始めたら摂取するようにしましょう。
当院でも葉酸サプリを扱っていますが、「妊娠の為に」と記載されているものであれば、お近くの薬局で購入してもらって大丈夫です。
風疹・麻疹・水痘・おたふく風邪の抗体を検査しましょう
妊娠中に風疹・麻疹・水痘・おたふく風邪に感染すると、流産の原因となったり、奇形の原因になる事があります。
そのため、妊娠を考え始めたら、これらの抗体=抵抗力を調べて、もし抵抗力がなければ妊娠前にワクチンを接種するのがお勧めとなります。
ワクチンを接種すると、2~3か月間は避妊が必要となるため、妊娠を考え始めたら、早めに検査を受けましょう。
お味噌汁を食べるようにしましょう
早産の原因の一つとして、腟内の細菌感染があります。もともと腟内は乳酸菌がいるのが正常な状態のため、妊娠前から乳酸菌を積極的に摂ることで、早産のリスクが減らせる可能性があるのです。
味噌汁、ヨーグルト、納豆の摂取頻度が多いことは早期早産のなりにくさと関連がある
富山大学の研究結果
・78,000人の妊婦さんを対象に発酵食品を食べる頻度についての調査
妊娠34週より早く産まれてしまう「早期早産」のリスクについて調べています。
妊娠前に味噌汁を食べる回数が週に1日以下の方が早期早産になる確率を「1」とすると、週1〜2日食べる人は「0.58」、週3〜4日食べる人は「0.69」、週5日以上食べる人は「0.62」と、いずれも早期早産になりにくい、という結果でした。
ヨーグルトの場合は、味噌汁と同様に週1回以下の人が早期早産になる確率を「1」とした場合、週5回以上食べる人は「0.62」でした。
納豆の場合も、週1回以下の人と比べて、週3回以上食べる人は「0.60」でした。
このように、妊娠前から味噌汁、ヨーグルト、納豆などから乳酸菌を摂ることで、早産になるリスクを下げられる可能性が指摘されています。
妊娠を考え始めた時には、葉酸のサプリに加えて、味噌汁などの食生活も見直すようにしましょう