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子宮体がん(子宮内膜がん)

不正出血・閉経後出血・月経不順でお悩みの方へ。子宮体がんの症状・リスク因子・検査・治療について詳しく解説します。気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。

子宮体がんとは

子宮には大きく分けて2つの部位があります。赤ちゃんが育つ奥側の「子宮体部」と、その出口となる「子宮頸部」です。子宮体がんは、子宮体部の内側を覆う子宮内膜から発生するがんで、「子宮内膜がん」とも呼ばれます。

一方、子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)にできるがんで、原因の多くはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。子宮体がんはウイルス感染とは関係なく、ホルモンバランスの乱れなどが主な原因となる点が大きく異なります。

💡 子宮頸がんとの違い
項目 子宮体がん 子宮頸がん
発生部位 子宮体部(内膜) 子宮頸部(入り口)
主な原因 ホルモンバランス・肥満など HPV(ウイルス)感染
好発年齢 50歳以降(閉経後) 30〜40歳代
主な初期症状 不正出血・閉経後出血 不正出血・接触出血
検査 内膜細胞診・超音波 頸部細胞診・コルポスコープ

近年、食生活の欧米化や肥満の増加に伴い、日本でも子宮体がんの患者数は増加傾向にあります。早期発見・早期治療が非常に重要です。

なりやすい方・リスク因子

子宮体がんの多くは、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の過剰な刺激が関係しています。エストロゲンには子宮内膜を増殖・肥厚させる作用があり、このホルモンが過剰に作用し続けると、子宮内膜増殖症という前段階を経てがんが発生することがあります。

主なリスク因子
カテゴリ リスク因子 リスクの程度
ホルモン関連 エストロゲン単独のホルモン補充療法(HRT) 高い
ホルモン関連 月経不順・無排卵周期が続く 高い
ホルモン関連 初潮が早い・閉経が遅い 中程度
生活習慣 肥満(BMI高値) 高い
妊娠・出産 出産経験がない・不妊症 中程度
既往・合併症 高血圧・糖尿病・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) 中程度
遺伝 リンチ症候群・乳がん・大腸がんの家族歴 中程度
⚠️ HRT(ホルモン補充療法)を受けている方へ
エストロゲン単独のHRTは子宮体がんのリスクを高めることが知られています。子宮のある方には、黄体ホルモン(プロゲステロン)を併用することでリスクを低減できます。HRT中の方は定期的な子宮体がん検査をお受けください。

また、3ヶ月以上生理がこない方は、同じ子宮内膜がずっと残り続けることになり、がんが発生するリスクが高まります。月経不順が続く場合は、一度ご相談ください。

症状

子宮体がんの最も代表的な症状は「不正出血」です。患者様の約9割に不正出血がみられ、早期発見の重要なサインとなります。

特に注意が必要な症状
  • 閉経後の出血(少量・茶色いおりものを含む)
  • 月経と無関係なタイミングでの出血
  • 月経量が急に増えた・月経期間が長くなった
  • 3ヶ月以上生理がこない(無月経)後の出血
  • 不規則な月経が長期間続く
進行すると現れる症状
  • 下腹部の痛み・違和感
  • 性交時の痛み
  • お腹の張り・腰痛
  • 排尿・排便時の痛み(がんが周囲に広がった場合)
⚠️ 閉経後の出血は必ず受診を
閉経後に出血があった場合、たとえ少量でも「様子をみる」ことはおすすめしません。子宮体がんは初期段階で不正出血が起きやすいため、早期発見のチャンスです。お早めにご受診ください。

閉経前後は生理不順になりやすく、多くは排卵がうまくできないことによる自然な経過です。しかし、ごくまれに子宮体がんが隠れていることもあるため、生理不順・不正出血が続く場合は一度検査を受けるようにしてください。

検査の流れ

子宮体がんの検査は外来で行います。子宮頸がん検診と同様に内診台に上がっていただき、以下の流れで検査を進めます。

1

問診・視診

不正出血の状況・月経の様子・既往歴・ご家族のがん歴などをお伺いします。

2

経腟超音波検査(エコー)

子宮内膜の厚みを測定します。閉経後に内膜が5mm以上ある場合や、閉経前でも内膜が異常に厚い場合は、さらに詳しい検査を行います。超音波検査だけでもある程度の診断が可能です。

3

子宮内膜細胞診・組織診

細いチューブやスプーン状の器具を子宮の奥まで挿入し、内膜の細胞・組織を採取します。個人差はありますが、生理痛のような鈍い痛みを伴うことがあります。内診が難しい場合はMRI検査で評価することも可能です。

4

結果説明・次のステップ

検査結果は約1〜2週間後にご説明します。異常が疑われる場合は、より詳しい組織診や画像検査(MRI・CT)、治療のために、専門の医療機関をご紹介します。

💡 子宮頸がん検診との違い
一般的な住民集団検診の子宮頸がん細胞診(入り口を擦る検査)では、子宮の奥にできる子宮体がんを正確に見つけることはできません。子宮体がんが疑われる場合は、 専用の「子宮体がん検査(内膜細胞診)」を別途行う必要があります。

進行度(ステージ)

子宮体がんは進行度(ステージ)によって治療方針が異なります。子宮体がんは初期段階で不正出血が起きやすいため、比較的早いステージで発見されることが多いがんです。

ステージ 状態 特徴
Ⅰ期 がんが子宮体部に限局 子宮の筋層への浸潤の深さによりA・Bに分類。最も予後が良い。
Ⅱ期 子宮頸部間質まで広がっている 子宮頸部の結合組織(間質)に浸潤しているが、子宮外には出ていない。
Ⅲ期 子宮外・骨盤内に広がっている 卵巣・卵管・膣・骨盤リンパ節・傍大動脈リンパ節などへの転移。
Ⅳ期 遠隔転移あり 膀胱・直腸・肺・肝臓など遠くの臓器への転移。

治療法

💡 当院の役割について
当院では、問診・超音波検査・内膜細胞診による診断までを行っています。子宮体がん、または前がん病変が疑われる場合は、精密検査・治療が可能な専門の医療機関へご紹介します。以下は一般的な治療の流れについての説明です。
基本治療:手術(外科治療)

治療の基本は手術(外科治療)です。病期にかかわらず、可能な限り手術によって子宮・両側卵巣・卵管を摘出することが原則となります。進行度や悪性度に応じて、周囲のリンパ節を一緒に切除する「リンパ節郭清」を行うこともあります。

手術後は再発リスクを下げるために、抗がん剤治療(化学療法)や放射線治療を追加することがあります。

妊孕性温存治療(子宮を残す治療)

ごく初期(Ⅰ期A期)の子宮体がん、または前がん病変である非定型子宮内膜増殖症で、かつ特定の条件を満たす場合に限り、子宮を残す「妊孕性温存治療」を検討できます。

  • 手術を行わず、大量の黄体ホルモン薬を長期間内服してがんを消失させる
  • 治療後は早期の妊娠を目指すことが推奨される
  • 出産後は再発予防のために子宮摘出が推奨される
  • 適応の判断には専門医による詳細な評価が必要
治療後の経過観察

治療後も一定の割合で再発リスクがあるため、定期的な通院が不可欠です(この通院は、治療を行った紹介先の医療機関で継続していただく形になります)。

治療後の時期 通院間隔の目安 主な検査内容
1〜2年目 1〜3ヶ月ごと 内診・超音波・腫瘍マーカー
3年目 3〜6ヶ月ごと 内診・超音波・腫瘍マーカー
4〜5年目 6ヶ月ごと 内診・超音波・腫瘍マーカー・CT
5年以降 1年ごと 内診・超音波

5年間再発がなければ、ひとつの区切りとなります。

日常生活での予防
  • 適正体重の維持(肥満はエストロゲン過剰分泌の大きな原因)
  • バランスの良い食事と適度な運動
  • 不正出血・閉経後出血を見逃さない
  • 月経不順が続く場合は早めに婦人科へ
  • HRT中の方は定期的な内膜検査を受ける

よくあるご質問

子宮体がんと子宮頸がんはどう違うのですか?
子宮体がんは赤ちゃんが育つ子宮の奥側(子宮体部)にある子宮内膜から発生するがんで、「子宮内膜がん」とも呼ばれます。子宮頸がんは子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんで、原因の多くはHPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。子宮体がんはウイルス感染とは無関係で、ホルモンバランスの乱れなどが主な原因です。
子宮体がんになりやすい人の特徴は何ですか?
主な原因は女性ホルモンであるエストロゲンの過剰な刺激です。出産経験がない方、閉経が遅い方、肥満の方、エストロゲンのみのホルモン補充療法を受けている方などはリスクが高くなります。また、高血圧・糖尿病のある方、リンチ症候群などの遺伝的な要因を持つ方も発症しやすい傾向があります。
子宮体がんの初期症状にはどのようなものがありますか?
最も代表的な初期症状は「不正出血」です。患者様の約9割に不正出血がみられます。特に、閉経しているにもかかわらず少量の出血(茶色いおりものを含む)がある場合や、閉経前であっても月経とは無関係の出血・不規則な月経が続く場合は注意が必要です。進行すると下腹部の痛みなども現れます。
子宮頸がんの検診で、子宮体がんも見つかりますか?
いいえ、一般的な子宮頸がん細胞診(入り口を擦る検査)では、子宮の奥にできる子宮体がんを正確に見つけることは困難です。子宮体がんが疑われる場合は、子宮の奥に細い器具を挿入して内膜の細胞を採取する専用の「子宮体がん検査(内膜細胞診)」を別途行う必要があります。
検査は痛いですか?
まず超音波(エコー)検査で子宮内膜の厚みを測定します。内膜が異常に厚い場合は、細いチューブやスプーン状の器具を子宮の奥まで入れて内膜の細胞を採取します。このとき個人差はありますが、生理痛のような鈍い痛みを伴うことがあります。内診が難しい場合はMRI検査で評価することも可能ですので、遠慮なくお申し出ください。
ステージ(進行度)はどのように分類されますか?
がんが子宮体部に留まっている「Ⅰ期」、子宮頸部間質まで広がっている「Ⅱ期」、子宮外(卵巣・卵管・膣・リンパ節など)に広がっている「Ⅲ期」、遠くの臓器(膀胱・直腸・肺・肝臓など)まで転移している「Ⅳ期」に分類されます。子宮体がんは初期段階で不正出血が起きやすいため、比較的早いステージで見つかることが多いがんです。
治療の基本は何ですか?手術は必須ですか?
当院では検査までを行い、子宮体がん、または前がん病変が疑われる場合は専門の医療機関へご紹介しています。一般的に治療の基本は「手術(外科治療)」です。病期にかかわらず、可能な限り手術によって子宮・両側卵巣・卵管を摘出することが原則です。進行度・悪性度に応じてリンパ節郭清を行うこともあります。手術後は再発リスクを下げるために抗がん剤治療や放射線治療を追加することがあります。
将来子どもを産みたい場合、子宮を残す治療はできますか?
ごく初期(Ⅰ期A期)の子宮体がん、または前がん病変である非定型子宮内膜増殖症で特定の条件を満たす場合に限り、子宮を残す「妊孕性温存治療」を検討できる場合があります。手術を行わず、大量の黄体ホルモン薬を長期間内服してがんを消失させる治療で、専門の医療機関での実施となります。治療後は早期の妊娠を目指すこと、出産後は再発予防のために子宮摘出が推奨されます。
治療後の再発リスクや定期検診について教えてください。
治療後も一定の割合で再発リスクがあるため、定期的な通院が不可欠です。治療終了から1〜2年目は1〜3ヶ月ごと、3年目は3〜6ヶ月ごと、4〜5年目は6ヶ月ごと、その後は1年ごとに内診・超音波・腫瘍マーカーなどの検査を行います。5年間再発がなければひとつの区切りとなります。
日常生活で予防できることはありますか?
最大の要因であるエストロゲンの過剰分泌を抑えることが予防につながります。肥満は体内のエストロゲンを増加させる大きな原因となるため、バランスの良い食事と適度な運動で適正体重を維持することが大切です。また最も重要なのは「不正出血を見逃さないこと」です。閉経後の出血や長引く月経不順がある場合は、早期に婦人科を受診してください。
※当院の子宮体がんに関する診療・検査・治療方針は、公益社団法人 日本産科婦人科学会および一般社団法人 日本婦人科腫瘍学会が策定する「子宮体がん治療ガイドライン」に準拠し、患者様の安全とプライバシーに最大限配慮した医療を提供しています。より詳細なガイドライン情報については、 日本婦人科腫瘍学会または 日本産科婦人科学会の公式ページをご参照ください。