妊娠中のワクチン接種
RSウイルスワクチン:アブリスボ
RSウイルスとは
RSウイルスは、生後1歳までに約半数、2歳までにほぼ全ての子供が感染すると言われるほどありふれたウイルスで、発熱や咳など、いわゆる風邪症状を引き起こします。しかし、生後6か月までに感染すると重症化するリスクが高くなっています。
RSウイルスワクチン「アブリスボ」
効果(妊娠24〜36週の接種による重症化予防効果)
日数が進むほど、やや効果は落ちていきますが、生後半年以内の重症化リスクが特に高いことを考えれば、かなり効果的なワクチンであることがうかがえます。
仕組み
RSウイルスが表面の膜上に持つタンパク質の抗原がワクチンに含まれています。これを接種することで、妊婦さん自身の体内にたんぱく質の抗原に対する「抗体」が作られ、それが胎盤を経由して胎児に移行することで、赤ちゃんを感染から守る仕組みになります。
副作用(ワクチン接種群とプラセボ群の比較)
| 症状 | ワクチン群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 接種部位の痛み | 40.6% | 10.1% |
| 筋肉痛 | 26.5% | 17.1% |
| 疲労 | 46.1% | 43.8% |
| 頭痛 | 31.0% | 27.6% |
| 悪心 | 20.0% | 19.2% |
| 下痢 | 11.2% | 11.5% |
| 嘔吐 | 7.8% | 7.0% |
| 38度以上の発熱 | 2.6% | 2.9% |
値段
接種する時期
妊娠28週〜36週の接種がお勧めです。
RSウイルスに対する他の対策
妊娠中に接種するワクチン以外に、生まれた後の赤ちゃんに接種するものもあります。
シナジス(パリビズマブ)
RSウイルスに対してのみ作用する「モノクローナル抗体」というものです。ウイルスに対する抗体そのものなので、他のワクチン接種とのスケジュールには影響しません。RSウイルス流行期に毎月1回接種することになりますが、保険適応となっても1回数万円かかります(自費だと1回10万円以上)。
対象者妊娠35週までの早産児や、肺疾患・心疾患・ダウン症などのリスクを伴う赤ちゃんに限られます。
ベイフォータス(ニルセビマブ)
上記のシナジスと同様、RSウイルスに対する抗体のため、ワクチンではありません。そのため、他のワクチン接種とのスケジュールには影響しません。シナジスと異なる点は、早産などのリスクを伴わない、すべての赤ちゃんが対象になっている点と、シナジスのように毎月接種する必要はなく、1シーズンに1回の接種で済む点です。ただし、保険適応となるのはリスクを伴う赤ちゃんのみであり、リスクのない赤ちゃんでは自費での接種になります。
薬価は50mgで45万円、100mgで90万円となっています(保険適応であれば無料になる自治体も多いですが、自費での接種だと非常に高額になる可能性があります)。