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エビデンスに基づく医療情報

妊娠中の百日咳ワクチン(Tdap)接種の効果
海外の研究データで解説

生まれたばかりの赤ちゃんを百日咳から守るため、妊娠中に接種する百日咳ワクチンについて、海外の推奨事項と研究データをもとに詳しくご紹介します。

ACOGの推奨事項

アメリカの産婦人科医の代表的な団体である「ACOG(米国産婦人科学会)」では、妊娠中の百日咳ワクチン(Tdap)接種について、以下のように推奨しています。

  • 妊婦さんは、妊娠するたびに妊娠27〜36週にTdapを接種すること
  • 赤ちゃんと一緒に暮らすことになる家族も、赤ちゃんを迎える2週間以上前にはワクチンを打っておくこと
  • もし妊娠中にワクチンを打たなかった場合、大人になってからTdapワクチンを接種していなければ、産後できるだけ早く接種すること
  • 妊娠27週以前にワクチンを接種していたら、追加のワクチンは必要ないこと
海外では、百日咳・破傷風・ジフテリアの3つの病気に対するワクチンを「Tdap」と呼んでいます。

研究データで見る効果

実際に妊娠中の百日咳ワクチン(Tdap)を接種した場合の効果について、複数の研究結果をご紹介します。

入院リスクの低下

58〜72%
赤ちゃんの入院リスク予防

アメリカで2011〜2015年にかけて、妊娠27〜36週にTdapを接種した場合、赤ちゃんが百日咳で入院するリスクを58〜72%予防し、人工呼吸が必要になったり、百日咳が原因で亡くなる赤ちゃんはいませんでした。

接種タイミングによる違い

85%
産後接種と比べた予防効果の差

Tdapを接種するタイミングとして、妊娠中と産後で比較した研究では、産後にTdapを接種するより、妊娠27〜36週に接種した方が、出生8週間までの百日咳を85%予防できる結果でした。

大規模コホートでの効果

91.4%
生後2ヶ月までの百日咳を予防
69.0%
生後1年までの百日咳を予防

2010〜2015年にかけて、妊娠中にTdapを接種した148,981人の赤ちゃんを対象とした研究では、上記の予防効果が確認されました。以上のように、妊娠中のTdap接種は、生まれたばかりの赤ちゃんを百日咳から守る効果が非常に高いことがうかがえます。

トリビックと個人輸入Tdap(BOOSTRIX)の比較

ここまでご紹介してきた「Tdap」というワクチンですが、残念ながら日本ではまだ承認されていません。そのため、日本で接種するとすれば、個人輸入された「Tdap」(当院で採用しているBOOSTRIXはこちらに該当します)を接種するか、Tdapと組成が少し異なる「トリビック」というワクチンを接種することになります。

海外データが豊富

個人輸入Tdap(BOOSTRIXなど)

  • 海外で多く使われており、データがしっかり揃っている
  • クリニックや病院ごとに個人輸入されているため、対応している医療機関を探す必要がある
  • 日本では未承認のため、万が一重篤な副反応が生じても、公的な健康被害救済制度の対象外
国内承認・補償あり

トリビック

  • 百日咳・破傷風・ジフテリアに対応した、日本で承認済みの「三種混合ワクチン」
  • 万が一副反応が生じた場合、健康被害救済制度の申請が可能
  • Tdapに比べてジフテリアの量が多く、破傷風の量が少ない組成の違いがある
組成の違いについては、いずれも「不活化ワクチン」として妊娠中の接種が問題ないとされているタイプのため、その違いが実際の安全性に影響する可能性は低いと言えます。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて選んでいただく形になります。

国内の流行状況

日本国内では年間1万人近い患者数が報告されていた百日咳ですが、2021年には700人ほどに激減しています。これは、その他の感染症でも同様の傾向があり、新型コロナに対する感染対策が功を奏していたためだと考えられます。そうした感染対策が徐々に緩くなっていく中で、様々な感染症が増えていくリスクを考えると、百日咳に対するワクチン接種についても、積極的に検討する必要が出てくると言えます。

当院での考え方

現在当院では、個人輸入のBOOSTRIX(12,000円)を取り扱っています(トリビックは現在取り扱いがありません)。接種するワクチンの種類や時期について、診察の際にご相談ください。

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※本記事の内容は、公益社団法人 日本産科婦人科学会等が示す最新のエビデンスをもとに、当院院長が監修しています。個々の症状・治療方針については、必ず診察の上でご相談ください。