卵巣がん
卵巣がんについて
卵巣がんは卵巣に発生する悪性腫瘍です。初期にはほとんど症状がなく、進行するまで気づきにくいことから「サイレントキラー」と呼ばれることもあります。
しかし、卵巣がんは決して頻度の高い病気ではありません。お腹の張りや下腹部痛があるからといって必ずしも卵巣がんとは限りませんが、症状が続く場合には婦人科受診をおすすめします。
卵巣がんとは
卵巣は子宮の左右にある臓器で、卵子を育てる働きをしています。この卵巣に発生した悪性腫瘍が卵巣がんです。
卵巣がんにはさまざまな種類があり、治療方法や予後は組織型や進行度によって異なります。
婦人科がんの中では比較的まれながんですが、発見時には進行していることも少なくありません。そのため早期発見が重要とされています。
卵巣がんの症状
卵巣がんは初期には無症状のことが多く、腫瘍が大きくなったり腹水がたまったりすると症状が現れます。
- お腹の張り(腹部膨満感)
- 下腹部痛
- 腹囲の増加
- 頻尿
- 残尿感
- 便秘
- 食欲低下
- 胃もたれ
- 体重増加
- 体重減少
妊娠・授乳と卵巣がんの関係
卵巣がんの発症には遺伝的要因だけでなく、妊娠歴や授乳歴、女性ホルモン環境なども関係すると考えられています。
特に閉経後女性を対象とした研究では、妊娠や授乳が卵巣がんリスクに与える影響について多くの報告があります。
詳しく知りたい方は以下のコラムをご覧ください。
▶閉経後の女性における「妊娠・授乳・ホルモンと卵巣がんリスク」の関係について
卵巣がんになりやすい人
- 40歳以降の女性
- 閉経後の女性
- 卵巣がんの家族歴がある方
- 乳がんの家族歴がある方
- BRCA遺伝子変異がある方
- 出産経験が少ない方
これらに当てはまらない方でも卵巣がんを発症することがあります。
子宮頸がん検診では卵巣がんは見つかりません
子宮頸がん検診は子宮頸部の細胞を調べる検査であり、卵巣がんを発見するための検査ではありません。
子宮頸がん検診が正常でも卵巣がんを否定することはできません。
卵巣の状態を確認するためには婦人科診察や超音波検査が必要です。
卵巣がんを早期発見できる?
現在、子宮頸がん検診のように確立された卵巣がん検診はありません。
しかし、婦人科診察や超音波検査によって卵巣腫瘍が偶然発見されることがあります。
また、腹部膨満感や下腹部痛などの症状をきっかけに診断につながるケースもあります。
卵巣がんの検査
- 問診
- 内診
- 経腟超音波検査
- MRI検査
- CT検査
- 腫瘍マーカー検査
特に経腟超音波検査は卵巣の状態を評価するうえで重要な検査です。
CA125と腫瘍マーカーについて
CA125は卵巣がんで上昇することがある腫瘍マーカーです。
しかし子宮内膜症や月経中、妊娠中などでも上昇することがあり、CA125のみで卵巣がんを診断することはできません。
また、早期の卵巣がんでは正常値となることもあります。
卵巣嚢腫との違い
卵巣にできる腫瘍の多くは良性の卵巣嚢腫です。
超音波検査では大きさや内部構造を確認し、良性が疑われるのか悪性の可能性があるのかを評価します。
卵巣がんの治療成績について
がんと診断された際、多くの方が生存率について不安を感じます。
実際の治療成績は進行度や組織型によって大きく異なります。
また、乳がんや子宮頸がんなど他の女性特有のがんとも状況は異なります。
遺伝と卵巣がん
卵巣がんの一部は遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と関連しています。
BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異を持つ方では、卵巣がんリスクが高くなることが知られています。
卵巣がんを予防する手術について
BRCA遺伝子変異が確認された方などでは、将来の卵巣がんリスクを下げるために予防的卵管卵巣摘出術が検討されることがあります。
手術を受けるかどうかは人生設計や価値観も関わる重要な問題です。
当院での対応
当院では婦人科診察および経腟超音波検査を行っています。
卵巣腫瘍や卵巣がんが疑われる場合には、適切な高次医療機関へご紹介いたします。
卵巣がんについてさらに詳しく知りたい方へ
卵巣がんに関する理解を深めたい方のために、当院では関連コラムを掲載しています。
よくあるご質問
卵巣がんの初期症状はありますか?
初期には症状がないことが多い病気です。お腹の張りや下腹部痛、頻尿などが続く場合は婦人科受診をおすすめします。
子宮頸がん検診で卵巣がんは見つかりますか?
見つかりません。卵巣の評価には婦人科診察や超音波検査が必要です。
CA125が正常なら卵巣がんではありませんか?
早期の卵巣がんでは正常値のこともあります。CA125のみでは判断できません。
卵巣がんは若い人でもなりますか?
中高年に多い病気ですが、若年者でも発症することがあります。
医師からのメッセージ
卵巣がんは早期には症状が乏しい病気ですが、婦人科診察や超音波検査によって異常が見つかることがあります。
お腹の張りや下腹部症状が続く場合、卵巣嚢腫を指摘されたことがある場合、ご家族に卵巣がんや乳がんの方がいる場合は、お気軽にご相談ください。